変電所のお話-その5-

さていよいよ核心的な部分の変圧器に入ります。変圧器の手前に断路器を設ける時と設けない時がありますが、設けるのが一般的です。断路器の形状は以前に説明したのと同じ形状で構いません。

変圧器については、ここではき電線への供給用変圧器の事をさし、整流器用変圧器と呼ばれます。変成器なども同じ意味合いを持ち、総称として変成設備などと呼ばれ電圧を変換(降圧)させる役目があります。直流電鉄変電所の変圧器は、一般的に電力会社より66000Vで受電した電気を、1200V程度に降圧させます。この辺も興味のある方はネット検索で研究してください。
実物を見てみましょう。
実は電鉄用変電所で写真に良く収まる変圧器が無かったので、大船の住友電工にある工場用変圧器で名称説明します。形はそんなに変わりませんので・・・下の写真でなんとなく形は分かるかと思います。

大まかな構成は下の写真のようになります。変圧器は熱と音が凄く、冷却にはオイルを用います。
本体は真ん中の四角い部分です。両脇には冷却用のラジエターが設置され、この変圧器ではラジエター冷却用ファンも見えます。
変圧器の碍子と言う部分はブッシングと呼ばれます。コンサベータは本体の冷却に使用するオイルのタンクのような物で、これはGM変電所キットに附属する変圧器にはしっかり表現されており、説明書にも「コンサベータ」と載っていました。

コチラは山陽天満変電所の変圧器でラジエターがよく見えます。一般的に記憶の中に残る変圧器の形状は、このラジエターが印象に残っていると思います。本体では無いんです。

コチラはJR東海原変電所の変圧器になります。ブッシング、ラジエター本体の区別は付くでしょうか?本体はクリーム色なのがわかります。

こちらは原変電所の信号高配用変圧器です。き電用変圧器に比べると信号高配用は少し小型です。住友、山陽と比べると21世紀仕様のクリーム色で機器も新しく感じます。

こちらは初登場の西武鉄道所沢変電所の変圧器で、ブッシングなどは見当たらず、地中配線になっていて21世紀仕様のクリーム色、スッキリ配線になっています。
ラジエターと本体は見比べられるようになったと思います。銘板は「明電舎」になっていました。西武は明電舎をひいきにしているようです。

コチラは東武鐘ヶ淵変電所の信号高配用変圧器です。この裏にき電用変圧器もありますが、写真に撮れる場所にありませんでした。地中配線にも対応した今どきの変圧器はブッシングも見当たりません。左側にラジエターが見えます。

変電所における変圧器の数ですが、き電用変圧器2台、信号高配用変圧器1台で合計3台の変圧器が一般的に設置されている数です。地方の中小私鉄はき電用1台、信号高配用1台というのもあります。
下の図はコチラのお話をしたときの図を改良したものです。

Aパターンはπ型き電とよばれ、変電所を境に両側に別系統の電気を送る一般的な送電系統になります。別系統というのは変圧器以下の機器が2系統となっていて別々のき電回路が構成されているという意味です。
BパターンはT型き電とよばれ同一系統の送電方式で、地方中小私鉄や大都市で電圧降下が激しい場所などに使用される方式です。つまり変圧器以下も1系統というこです。
Aパターンの場合、別系統で起点方、終点方に送電できるため、落雷や機器トラブルがあったとき、また事故などで断線した場合はどちらか片方の送電を続ける事で、その区間の折返し運転ができるなど、異常時における運転見合わせ区間を最小限にする事ができます。
しかし、Bパターンでは機器が故障した場合この変電所の持ち区分がすべて停電します。また事故などで電気を止めなければならない場合、同じように全区間停電させなければなりません。
大都市の鉄道や幹線の変電所では3台の変圧器がるのが一般的です。
変圧器は1回で終わらせる予定でしたが、模型については次回見てみましょう。
-つづく-