架線柱と周辺のお話-中編-

今回は取り込み部分とその約束事を書く予定でしたが、さらりと流す
予定だった端部処理はリクエストがあったので最後に書きます。
まず最初に、前回説明すべきでした架線構造から。架線は2本の電線
がぶら下がってますが上が吊架線(ちょうかせん)で下がトロリー線
となりハンガーで接続されています。トロリー線がパンタと接する部分
です。これらはまとめて電車線と呼ばれます。
トロリー線
この写真のはシンプルカテナリーと言う一般的な架線で、コレを2本
並列に張ったモノをツインシンプルカテナリーといい、電力容量確保
のため運転回数の多い首都圏の鉄道に用いられてます。しかし、最
近では2本分のトロリー線を管理するのが保守費の面であまり好まし
くないため、高速線区で用いられるコンパウンドカテナリーに張り替え
られる傾向があります。
さて、前回カトーの架線柱が理に叶っているとの事でして例題にあげ
ましたが、トミーの場合はどうでしょうか。
下の写真で右側に2個の碍子があります。これはき電線用です。しか
し、前回の基本的な話で出した3個の碍子が見当たりません。つまり
この配線では信号高配線がなく、信号機も点かなければ踏切も鳴ら
ず、券売機で切符も買う事が出来ません。でも、ご安心を。
トミー
信号高配線は付近の構造物や地形によって引き下げる事があります。
下の写真で3本ある信号高配線が電柱部分で終わり、柱沿いに下り
てきています。
高配引き下げ
その後はどうなるかというと、トラフと呼ばれる線路沿いのコンクリート
製の箱の中で送電されます。カトーで「側溝」として出ています。つまり、
き電線のみの架線柱でも理に叶うわけです。
トラフ
道路橋の下を通る時などやトンネ付近では引き下げられます。その
他にも、橋梁区間その他で外観上の理由などで引き下げられる事も
あります。
橋
信号高配線はパンタグラフと接するわけでもなく、ただ彷徨って張られ
ているわけではありません。駅付近では地上変台などと呼ばれるトラ
ンスや開閉器などが集められた設備に取り込まれAC200Vや100V
に降下され駅機器、照明に使用されます。
変台
以前は金網越しに中が見えましたが、最近は黄色の波板に囲われて
中が見えません。またキュービクルなどにそれらの機器が収められて
いる機会も増えてきました。キュービクルやそれらに収められた機器
はJIS規格によりデバイスナンバーなどが定められており、実はキュ
ービクルの色も概ね指定されています。
5Y7/1これがキュービクルのマンセル記号で、クリーム色をしてい
ます。レイアウトに黄色やグレーのキュービクルが駅付近にあったり、
変電所内に置かれていると理に叶いません。
地変台2
信号高配線・・・名前通り信号設備に電源を送るのが重要な役目です。
どうやって送ってるか見てみます。
下の写真のように踏切付近に柱上変圧器を設け、そこで110Vに降
下させて遮断機のモーターや赤の閃光灯、制御条件を出すリレーな
どの電源に使用されます。
変圧器
勿論信号機にも同様ですが、信号機、踏切同士が近ければ上の写真
に出てきたトラフ内に低圧の送電線を入れて送電します。なので、踏
切毎、信号機毎に付近の電柱にトランスを設ける必要はありませんが、
1個あるとサマになります。但し、鉄道会社によってはリレー箱内にトラ
ンスを入れている場合があるのでお気に入りの線区で確認してくだ
さい。ちなみに写真はJR線区です。
変圧器
さて、ココで架線の終端部分にある自動張力調整装置、テンションバ
ランサーについてさらりと流す予定ですが、後編のあと別枠で設けま
す。
バランサ-
今回の設備は無いと変とか、色が違うからあり得ないと言うわけでは
ありません。キュービクルについても外観上の理由で花柄キュービク
ルなんていうのもあり得るかもしません。あくまで実物の知識の参考
でリアルなモジュール作りの参考になれば幸いです。
次回後編はまとめです。