架線はちょっとお休みしまして、昨年4月から放置気味だった鉄コレ
3600形の改造続きをはじめました。
デハ3553と3554の屋根整形が終わり、パンタ台を設置しました。
3553,3554はパンタ台の形状が違うので、その辺の作り分けから
はじめます。
屋根を切り妻対応にするため、プラ板盛りつけたのがちょっと時間か
かりました。
架線柱と周辺のお話-後編-
最後はまとめとなり、レイアウトに設置する参考項目です。
一番最初に架線柱のスパンは決まっていないと書きましたが、これは設計条件により異なるからです。会社によってはある程度決めていることもありますが、地盤や風荷重、構造物によって必ずしもその数値にはなりません。
下の写真は東武鉄道ですが望遠で見ると、まるで京都の伏見稲荷の鳥居のようです。大ざっぱに書くと、直線では30~40mおき、曲線では20~30mおきに架線柱を設置すればほぼ問題ありません。ちなみに東武も信号機、踏切近くに柱上トランス設置されているようです。写真でも左側にうす緑色のトランスが見えます。
昨日鎌ヶ谷の帰り野田線の六実駅まで行きました。この区間はき電線は1本のみで、西武線と同じように架空地線が張られていました。右の電柱には信号機のための柱上トランスがあります。
架線柱は線路条件がよければ50m以上スパンを開ける事もできます。こちらは高架橋上の架線柱ですが、高架橋の柱は近年一般的に9mスパンが用いられてます。高架橋の場合、柱と架線柱の位置を同じにする事で設計条件を有利にする事が出来ます。こちらの区間は5スパン開いているので、約45mおきに架線柱があることになります。この辺の考え方は鉄道会社によっても異なります。
次に信号高配線を構造物条件で見てみます。トンネル付近では信号高配線はまとめられ壁伝いに送電されています。トンネル内に入ると車窓から波打つケーブルが視界に入ってくるのを
ご覧になった方もいらっしゃると思います。
き電線も同じく壁伝いに入りますが、コンパウドカテナリーの場合き電線を省略できる場合もありますが、この辺は難しくなるので今回は割愛します。トラス形状の橋りょうで送電する場合、トラフに入れたり、トラスの上にフレームを建てて送電したり、この辺も会社毎に考えが違うので参考にしたい橋りょうを観察してみて下さい。
会社の事情は信号高配線などもその例で、西武秩父線では5本の信号高配線があります。写真は横瀬駅構内ですが、左側の架線柱の上には5個の碍子が並んでます。
秩父線内の駅設備では電気室の様なモノは見当たらず、柱上トランスが良く見受けられました。
3相交流のほか、単相交流も送られているようでそのため通常の3本+単相交流の2線が加わり5本となります。秩父線内では気象条件の影響かあるいは駅での電気設備を簡素化するための措置と思われますが、この辺の事情は分かりません。
こちらは吾野駅ですが、同じです。建設費の影響か、駅施設の軽減の様に思われますが、両駅とも写真は2009年に撮影したモノなので現状と違っていたらごめんなさい。
車庫内を見てみると車庫内にはき電線のみで、高配線はあまり張られていません。信号高配線はトラフなどで送電されているのが一般的です。
さて、最後に模型化にあたり設置すべき標識のうち「電車線区分標」があります。この標識は送電区分の切れ目に設置するモノで、変電所の付近でも送電系統の切れ目に設置されます。
Aパターンは図の左右に送電されるほか、中央部に独立した中立区間が存在します。一般的にはデッドセクションとなり送電事故が発生した場合この部分の送電を切る事で電気的に独立させる事ができます。ここのセクションに跨って列車が停止した場合、大きな電位差が発生し、架線を溶断する可能性があります。中立区間はその線区を走る列車編成長以上の距離をとる事になってます。Bパターンは平行送り出しのみで、この場合電車線区分標は1カ所のみとなります。
この標識はビームに取り付けられていたり、電柱に取り付けられていたり鉄道会社によって異なります。
また上下一括き電でない場合は渡り線の中間にも設置される他、大きな車庫の入口などにも設置されています。下の写真は相鉄線の相模国分信号場ですが、ここの渡り線部分にも設置されています。但し、コチラも2年前の撮影なので現状と違ったらごめんなさい。
ここまでやる方はいないと思いますが、柱上トランスに配線を施す場合です。配線する場合は3本ある信号高配線のうち、どれでもいいので2本から配線を引き出し、トランスに取り込んでください。
また、吾野駅や横瀬駅の様に柱上トランスで駅配電設備を製作する際1つだけ約束事があります。それはトランスは2個以上と言う事です。動力電源と電灯電源という2種類の電源を必要とするためです。
設計のまとめとして
○架線柱間隔は直線30~40m、曲線は20~30mおき
○上下一括き電か、上下線別き電方式の違いで渡り線に「区分
標」の有無が出る
○信号保安設備への給電を柱上トランスにするかトラフ送電か
っといったまとめになります。
トミックスの架線柱で、柱上トランス給電ではちょっとおかしいかもしれません。この場合はトラフ内に低圧送電されているとした方が自然です。東武鉄道も改良工事区間などでは柱上トランスの数が減ってました。最後は駆け足でしたがいかがでしょうか・・・
最後までお読み頂きありがとうございました。
架線柱と周辺のお話-中編-
今回は取り込み部分とその約束事を書く予定でしたが、さらりと流す
予定だった端部処理はリクエストがあったので最後に書きます。
まず最初に、前回説明すべきでした架線構造から。架線は2本の電線
がぶら下がってますが上が吊架線(ちょうかせん)で下がトロリー線
となりハンガーで接続されています。トロリー線がパンタと接する部分
です。これらはまとめて電車線と呼ばれます。
この写真のはシンプルカテナリーと言う一般的な架線で、コレを2本
並列に張ったモノをツインシンプルカテナリーといい、電力容量確保
のため運転回数の多い首都圏の鉄道に用いられてます。しかし、最
近では2本分のトロリー線を管理するのが保守費の面であまり好まし
くないため、高速線区で用いられるコンパウンドカテナリーに張り替え
られる傾向があります。
さて、前回カトーの架線柱が理に叶っているとの事でして例題にあげ
ましたが、トミーの場合はどうでしょうか。
下の写真で右側に2個の碍子があります。これはき電線用です。しか
し、前回の基本的な話で出した3個の碍子が見当たりません。つまり
この配線では信号高配線がなく、信号機も点かなければ踏切も鳴ら
ず、券売機で切符も買う事が出来ません。でも、ご安心を。
信号高配線は付近の構造物や地形によって引き下げる事があります。
下の写真で3本ある信号高配線が電柱部分で終わり、柱沿いに下り
てきています。
その後はどうなるかというと、トラフと呼ばれる線路沿いのコンクリート
製の箱の中で送電されます。カトーで「側溝」として出ています。つまり、
き電線のみの架線柱でも理に叶うわけです。
道路橋の下を通る時などやトンネ付近では引き下げられます。その
他にも、橋りょう区間その他で外観上の理由などで引き下げられる事も
あります。
信号高配線はパンタグラフと接するわけでもなく、ただ彷徨って張られ
ているわけではありません。駅付近では地上変台などと呼ばれるトラ
ンスや開閉器などが集められた設備に取り込まれAC200Vや100V
に降下され駅機器、照明に使用されます。
以前は金網越しに中が見えましたが、最近は黄色の波板に囲われて
中が見えません。またキュービクルなどにそれらの機器が収められて
いる機会も増えてきました。キュービクルやそれらに収められた機器
はJIS規格によりデバイスナンバーなどが定められており、実はキュ
ービクルの色も概ね指定されています。
5Y7/1これがキュービクルのマンセル記号で、クリーム色をしてい
ます。レイアウトに黄色やグレーのキュービクルが駅付近にあったり、
変電所内に置かれていると理に叶いません。
信号高配線・・・名前通り信号設備に電源を送るのが重要な役目です。
どうやって送ってるか見てみます。
下の写真のように踏切付近に柱上変圧器を設け、そこで110Vに降
下させて遮断機のモーターや赤の閃光灯、制御条件を出すリレーな
どの電源に使用されます。
勿論信号機にも同様ですが、信号機、踏切同士が近ければ上の写真
に出てきたトラフ内に低圧の送電線を入れて送電します。なので、踏
切毎、信号機毎に付近の電柱にトランスを設ける必要はありませんが、
1個あるとサマになります。但し、鉄道会社によってはリレー箱内にトラ
ンスを入れている場合があるのでお気に入りの線区で確認してくだ
さい。ちなみに写真はJR線区です。
さて、ココで架線の終端部分にある自動張力調整装置、テンションバ
ランサーについてさらりと流す予定ですが、後編のあと別枠で設けま
す。
今回の設備は無いと変とか、色が違うからあり得ないと言うわけでは
ありません。キュービクルについても外観上の理由で花柄キュービク
ルなんていうのもあり得るかもしません。あくまで実物の知識の参考
でリアルなモジュール作りの参考になれば幸いです。
次回後編はまとめです。