今回は遮断器についてのお話です。前回の断路器ですが、説明写真の文字スタンプが遮断器になっていたので修正しておきました。
遮断器は構成図でいうと断路器の隣です。前回のお話で大雑把に断路器はスイッチ、遮断器はブレーカーと書きましたが、変電所内で回路に何かあった場合や、送電先に異常が発生した場合この遮断器が動作して、回路をまさに遮断し変電所内の機器を保護します。遮断器には過電流継電器などが付加されています。
下の写真でV字型に碍子のついている機械が遮断器です。筒状の内部にはシリンダーの「ようなもの」が入っており、そのシリンダーを抜き差しすることによって回路を遮断します。SF6という絶縁性の高いガスを接点へ吹き付ける事により、高圧電気でもアークを引くことなく、瞬時に電気を切ることができます。
これも遮断器です。
さて、こちらの下の写真で機器構成を見ていきましょう。1回線受電の変電所ですが受電、断路器、遮断器と並んでいます。この変電所はJR西日本の本郷変電所です。
こちらも1回線受電ですが、構成図どおり並んでいるのがわかるかと思います。手前の大きな碍子は避雷器です。この変電所はJR西日本の倉敷変電所です。
1回線受電の場合でも通常は変電所内で2系統以上にわけるため、この場合は鉄柱で組んだやぐらに母線を渡しそこから分岐する構成をとります。
下の写真は何度も出てきているJR東海の原変電所です。こちらもこのように並んでいます。
模型を見てみましょう。説明書では碍子台と書かれている物がそれらしい形状をしています。碍子台というのは機器名称ではなく、部材名称だと思います。実物の多くは円筒形状のベースにブッシング(碍子)がついています。
こちらは先日関西へ行った際の山陽電鉄天満変電所にあった遮断器です。縦型の遮断器です。模型の変電所の部品はあまり自作せず、簡単にそれらしく見せるため、まぁこの辺を見比べてみてトミックスのはそのまま使用する事にします。
さて、受電のときに説明した地中配線変電所になっている東武鐘ヶ淵変電所を見てみますと、断路器や遮断器がまったく見当たりません。これらの機器はすべて写真右奥にあるキュービクルの中に収納されています。
近年は機器を小型化させても安全度や信頼度が向上しており、小型キュービクルに収めることができるようになりました。このキュービクル内の遮断器などは乾燥した空気を吹き付けるタイプと思われます。
外観の塗色は以前はグレー系統が殆どでしたが、平成12年頃からはクリーム系統の色が多く使用されるようになっています。塗色についてはこちらもご覧ください。
ところで、なぜ見えないこの中にそれらの機器が入っているのがわかるかというと、機器類を見ればわかる経験もありますが、下の写真にあるキュービクルの番号に秘密があります。
電気機器類についてはJIS規格でディバイスナンバーというのが指定されています。たとえば交流遮断器は52、断路器は89となっており、さらに直流電鉄変電所では受電ではRという記号をあわせています。
189R1は受電1系統の交流遮断器で受電側から最初の遮断器と言う事が読み取れます。興味のある方はこの辺はネットで調べてみてください。山陽の天満変電所の遮断器にも四角い箱の横に、52Gと書かれているのが分かると思います。
まとめとしては
断路器の次は遮断器
鉄則です。
そして、21世紀以降の変電所機器であれば
クリーム色に塗装
と、言う事です。
ちなみに、この遮断器は母線方式をとると2回線受電でも設置数は1個でも大丈夫なんです。当然例外もありますが、この辺は次回以降に。
変電所のお話その2に出てきた柿の木坂変電所の送電系統図で、「駒沢」というのは駒沢線の部分では無く、駒沢変電所を指す物のようで、バスターミナルさんから連絡がありました。
つづく